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by kyoncci
住吉村の洋館・旧乾邸その1
現在日本一のお金持ちの住む場所・・・・といえば東京の田園調布か関西の芦屋の六麓荘・・・・と相場が決まっているようですが、実はもうちょっと昔に一軒あたりの面積が数百坪から数千坪に及ぶ、文字通り「長者村」が阪急・御影にはありました。
それが、今日ご紹介する神戸市東灘区の「住吉村」です。

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明治末期大都会大阪や港湾都市神戸は、日清・日露戦争の軍需で拡大し、おまけに大正12年の関東大震災で東京・横浜が壊滅的打撃を受けたためその代わりとなって大発展をとげていました。
街中の環境が悪化したため、両都市の富裕層はこぞって六甲山のふもとのなだらかな傾斜地「住吉村」に居を構えるようになります。
その中のひとつが今回お邪魔させていただいた「旧・乾邸」です。

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この邸宅は明治期、海運業で財をなした乾新兵衛(いぬいしんべい)の長男・新治氏(二代目)がひとり娘・道子夫婦のために建てたものだそうです。
たたき上げだった一代目とちがって、二代目は生れながらのおぼっちゃま。趣味も広く謡曲・相撲・ゴルフなどで交友関係が広く、そのひとりがこの館を設計した渡辺節です。

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渡辺節の作品は日本勧業銀行、日本興業銀行、大阪ビル、旧京都駅などの商業施設が多いのですが、「友達のよしみで作って~」と頼まれたのか?
彼が手掛けた一般住宅はこの乾邸以外には2軒あるだけです。
彼の住まいも乾邸の近くにあったはずなのですが、現存していません。

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能書きはさておいて、正面玄関から中に入ってみましょう。
両脇の蔓はブドウ。新治氏はよほどこの果物がお好きだったのか?内装にもふんだんに使われています(一説によるとブドウは繁栄のシンボルなのだそうです)

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玄関の内部から外を眺めたもの。
私は行ったことが無いのでわかりませんが、この内覧会に来ていたある女性が
「うわー大阪の日本綿業会館に似てる~」とおっしゃっていました。

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ガラス張りの華麗な玄関もすごいですが・・・・
内部に足を踏み入れると、あっと驚きます。
玄関ホールから二階へ続く回廊と階段・・・・すべて彫刻したチーク材。
係の人のお話では、継いだものではなく一本の木から掘り出したもの。
当時この階段の手すりだけで家が数軒買えたそうです(-_-;)
ちなみにこの洋館、建築に約1年かかっていますが、その間道子さんとお婿さんの豊彦さん(3代目)はずーっと世界一周を楽しんでいたそうです。
お金持ちはやることの桁がちがいますね~(>_<)

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そして玄関脇には、この館のメインである客間が・・・・・

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すごいシャンデリアです、落ちたら大変なことに(~_~メ)
画面中央のマントルピースの上の空間、変だと思われませんか?
実はここには神戸の産んだ世界的画家・小磯良平の絵が掛けられていたそうです。

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↑ は雑誌に載っている乾邸客間、ちゃんと絵も飾られています。
この館が建った五年後、新治氏は狭心症であっけなくこの世を去りますが
娘婿豊彦氏は若干33歳で当主となり、太平洋戦争で莫大な被害を受けた会社を盛り立てます。彼もまた無類のゴルフ狂で、広野ゴルフ場の再建に力を尽くしたそうです。
(関西ゴルフ連盟会長、日本ゴルフ協会名誉会長も歴任)

なぜ「旧」という文字を付けてこの乾邸をご紹介しているかと言いますと・・・
実はもうこの邸宅は乾家のものではありません。

平成5年に辣腕を奮った豊彦氏が亡くなり、乾家は相続税が払えずこの邸宅を国に物納します。
その当時の約束では国が神戸市に貸し出して、御影に新たな名所を作るつもりだったのです。
ところがその2年後、あの関西大震災が起きてしまいます。
震災で付属していた和風邸宅(壮麗なお茶室もあったそうです)は全壊、洋館部分はなんとか残りましたがその被害より何より、神戸市にこの館を借りる資金が無くなってしまったのです。

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このままでは競売にかけられて、おそらくこの地は一等地ですからマンション業者が放ってはおかないでしょう・・・・(二階からの眺めはすばらしい)
そんなことはさせない、ということで現在アメニティ2000協会というNPO法人などいろいろな市民団体が、コンサートや貸出を行って保存運動を展開しています。
とはいえ、もうじき国が定めた10年の猶予期間の終了がやってきます。

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素晴らしいおうちですが、良く見るとあちらこちらに傷みも目立ちます・・・・
協会の方とすこしお話させていただいたのですが、現在神戸市からは年間200万円の補助がもらえているのでそれで細々と修理などを行っているそうですが、とても足りませんとのこと。
ときどき内覧会を行うのも、その収入(見学料300円)が見込めるからです。

次回は2階に上がり、神戸の港の景色をお届けいたします。
神戸にお住まいの方、お近くの方、ぜひ内覧会にお越しくださって保存嘆願の署名をおねがいいたします<(_ _)>
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by kyoncci | 2008-08-08 02:41 | 関西よもやま話
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