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前回に引き続き、青森県下北半島の旅の二回目です。 今回は前回の最後にちょっとだけUPした寒立馬の写真を中心にUPしてゆきます。 サラブレッドを見慣れた私たちにとっては、珍しく感じる寒立馬ですが、昔はこういう馬が日本では普通の馬だったわけです。 残念ながら寒立馬は日本原産の馬ではありません。1456年(康正2年)『東北太平記』に現在の下北郡川内町に居を構えていた豪族・蠣崎蔵人が軍馬として大陸から数百頭のモンゴル、ロシアなど大陸系の馬を輸入したという記録が残っています。しかし蠣崎氏は南部氏との戦いに敗れ、馬を置き去りに北海道へ逃げてしまいました。 この残された馬たちを改良して、作られたのが「田名部(たなぶ)馬」であり、寒さに強く粗食種に耐える馬であったと伝えられています。 現在の青森県東部から岩手県北部に至る「南部地方」は昔から「南部馬」という良馬の産地として知られています。 下北半島を制した南部氏は田名部馬と南部馬を掛け合わせたのです。 このころは室町時代、時の将軍は足利義政、あの銀閣寺を作った人です。 明治時代になると、小柄な日本馬を軍用馬として利用するために外国種(アングロアラブ・トロッター・ハクニー・ブルトン・ペルシュロンなど)との交配を行う馬格向上政策が全国的に推し進められ、各地で在来馬の混血化が進みます。 残念ながら寒立馬の祖先である南部馬は、このとき絶滅してしまいました。 もうひとつの祖である「田名部馬」は軍馬需要が最盛期だった昭和10年代には150頭まで増えたこともありますが、戦後は機械化が進み農耕馬・荷役馬の需要は減少しました。 そこで尻屋崎の農家では、更に田名部馬をブルトン種と交配させ、この村独自の農用馬(食肉用)としての改良を行いました。それが現在の寒立馬です。 そうやって人々が必死に寒立馬を守ってきたにもかかわらず、食肉の自由化などで需要は急激に落ち込み、平成7年にはついにたったの九頭になってしまいます。 青森県と東通村はこれを危惧し、それ以来ずっと保護を続けています。 さまざまな経緯で作られた寒立馬は残念ながら「日本古来馬8種(道産子・木曽馬・野間馬・御崎馬・対馬馬・トカラ馬・宮古馬・与那国馬)」には入っていません。 しかしその姿には、絶滅してしまった南部馬の血が色濃く反映されている、と言われています。 灯台につづく道端でのんびりと草を食む寒立馬。 手厚い保護のおかげで、現在は30頭にまで増えたそうです。 ちなみに・・・この寒立馬は最初からそう呼ばれていたわけではありません。 地元の人たちは単に「野放し馬」と呼び、特定の名前は無かったそうです。 昭和45年、当時の尻屋小・中学校の校長先生であった岩佐勉氏(むつ市在住)が尻屋の人たちを前に短歌を詠みました。 「東雲(しののめ)に勇みいななく寒立馬(かんだちめ) 筑紫ヶ原の嵐ものかは」 それ以来、野放し馬は「寒立馬」と呼ばれるようになったそうです。 「かんだち」という言葉はカモシカが厳冬のなか、何日もじっとたたずむ姿を地元のマタギ(狩人)の間では「カモシカの寒立」と呼び、野放し馬にも同じような姿を見ることができることから「寒立馬」と命名したとのこと。美しい名前ですねぇ~ さて、この日宿泊予定だった大湊へ行こうと岬を発ったのですが・・・・ うひょ~!お馬さんたちに道をふさがれてしまいました\(◎o◎)/! ゆっくーり、のんびーり、横断していきました。 轢かないかと、ちょっと心配してしまった数分でした(笑) 次回は皆様おまたせの?「恐山」と残りの下北半島の旅です。 おいしいものいっぱい♪ですよ~
by kyoncci
| 2010-05-10 22:25
| 東北旅行
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がんばろうにっぽん
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